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豊海橋(とよみばし)[日本橋川]

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隅田川から日本橋川への入口にかかる橋。

 豊海橋は、日本橋川が隅田川に流れ込む地点にかかる橋。レトロなデザインと白とブルー(欄干部分)の組み合わせが印象的だ。写真手前の隅田川は右から左に流れている。
PHOTO
 古くは、吉良邸への討ち入りを果たした赤穂浪士が泉岳寺に向かった際のルートにあたる橋として知られる。当時は上の写真でいえば右手(北詰側)に永代橋がかかっており、浪士たちは写真右から左に向かって橋を渡った。
 現在の永代橋は向かって左側、豊海橋の南詰側に移っている。

日銀発祥の地碑 北詰すぐのところはもとの江戸時代には「船手番所」、明治時代に入ってからは日本銀行発祥の地となった場所があり、そのむね記された石碑が建てられている。
 その向こうそびえるベージュのビルは日本IBMの箱崎事業所ビル。
 このあたりから上流に向かっては隅田川の護岸が整備されて遊歩道となっており、ぶらぶら「大川端散歩」をするのに向いた一帯だ。
PHOTO豊海橋から上流の眺め。
とりあえず次の湊橋までは、どことなく
「江戸湊」の雰囲気を止めている……気がする。
初架橋:
元禄11年(1698)
現役橋:
昭和2年9月(1927)復興局施工
フィーレンデール橋
橋長    46.13m
有効幅員  8.00m
管理者 中央区
夜間ライトアップあり
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東京都中央区の宿泊施設

平岩弓枝「御宿かわせみ」の中心舞台

湊橋から見た豊海橋 大名


  
       
町屋       永代橋
蔵地↓      番所  
 

 
 ←霊巌橋方面へ        

 町屋    
       
 屋敷を出る時から、心のどこかで、今夜は大川端町の、るいの許へ行くつもりがある。
 神林東吾は仲間と別れると、自然、酔った足をそっちへむけていた。
 豊海橋の袂から少しはずれて「御宿、かわせみ」と小さな行燈が夜霧の中に浮んで見える。
 星も月もみえない、しっとりとした晩である。

--平岩弓枝『御宿かわせみ』第一話「初春の客」より
 人気時代連作小説「御宿かわせみ」では、その中心舞台「御宿かわせみ」の場所が次のように説明されている。

・豊海橋(別名・乙女橋)の袂から少しはずれたところ。
・大川端町。
・橋を渡ったところに船手番所があり、その先は永代橋。

PHOTO これらをもとに位置を割り出せば、上の図の★あたり、現在の中央区新川一丁目20番地あたりということになる。
 むろん旅館は実在しないが、該当地点は実際に「北新堀大川端町」という町名で、江戸の都心地区においては、町屋が直接大川(隅田川)に面する数少ない一角となっていた。これより北は両国の手前まで、川に沿って大名屋敷地が並び、寂しい一帯だったようだ。

 また、ここからは西へ500mほど歩けば霊巌島を渡って茅場町。捕物帳に欠かせない「八丁堀」北辺に10分もかからず行き着くことができる。
「水清き時代の隅田川に面した、妙齢の女主人が切り盛りする小さな旅館」
 という設定からくる豊かな叙情性と、女主人を囲む人々……使用人(元岡っ引)、亡父や恋人やその友人(八丁堀の与力・同心)と、「捕物帳」に好都合の舞台設定を無理なく融合させており、しかも交通機関として徒歩のほかに船が使え、永代橋があるから対岸の深川までもすぐ話を展開させることができる。
 長期連作となっているのもうなづける、まことに絶妙な目のつけどころというべきだろう。

 ちなみに、手元の文春文庫版第1巻のカバーには、そのようなせっかくの絶妙な旅館の位置設定について、
「江戸大川端、柳橋のはずれ」
 と説明してあった。
 日本橋川の出口付近が舞台なのに2kmも離れた神田川の出口の橋をひきあいに出すのは、単なる雰囲気盛り上げ用宣伝コピー、と受け止めたとしても少々違和感がありすぎる。よほど江戸の地理にウトい編集者が書いたのだろうか。時代劇ファンに笑われますよ。

→資料図書のページへ

●(江戸じゃないけど)実在する御宿かわせみ

 じつは「御宿かわせみ」は実在する……といっても都内ではなく福島県福島市、飯坂温泉にある高級旅館がこの名を名乗っている。

 小説を意識しつつ、周辺に「かわせみ(翡翠、川蝉)」が多いことともあわせての命名らしい。小説の知名度、作品世界で描かれる川のほとりの閑静な旅館のたたずまいのイメージ……などをそのまんま旅館のコンセプトやイメージ訴求につなげてしまうという、じつにこれは絶妙なネーミングだなあと、とりあえずそのへんは感心。
 ただ、なにせ高級旅館なんで、お値段は1泊2食つきお一人様3万円台以上、特別室8万円。家族3人とかで1泊したら10万~20万円以上が飛ぶ。このへんは原作の「御宿かわせみ」とはイメージがだいぶ違うが、まあ、きっと内容もそれに見合うものなのでしょう(イヤミじゃなく、あこがれ的意味で)。

※なお、リンクは「一休」の御宿かわせみのページに張ってありますが、JTBなどでも予約できるようです。

 もう1つ、北海道にも同じく「御宿かわせみ」を名乗る温泉旅館がある。こちらは昭和の初期からあった割烹旅館を改装したというレトロで純和風の旅館で、料金は一泊7,700円と庶民派。


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