撮影現場でよく耳にする言葉:イントレ

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 もっとハイペースで書くつもりだったのに半年ぶり......のエキストラ関連用語解説シリーズ、今回は「イントレ」です。
 エキストラが知ってる必要はほとんどない言葉ですが、撮影現場でスタッフの口からよく聞こえてくる単語のひとつがこの「イントレ」。
 意味は「組み立て式の足場、土台」のこと。建築工事用の足場と同様、つないで何層もの高さのヤグラに組み上げることができ、高い視線から見下ろす「俯瞰(ふかん)」のアングルからの撮影、照明機材の設置などなどに使われます。

 この「イントレ」の語源はなかなか面白くて、アメリカの映画界初期の大監督D・W・グリフィスの大作『イントレランス』(日本語訳:不寛容)にちなむそうです。
 この映画は、
・青年が無実の罪で死刑宣告を受ける現代(1916年製作当時)。
・キリストの処刑。
・ペルシャに滅ぼされた古代バビロン。
・フランスの聖バーソロミューの虐殺
 ......と、「社会の持つ不寛容さ」が引き起こした悲劇を壮大なスケールで描いたモノクロ無声映画。実に90年も前の作品ですが、大規模オープンセットを高い足場から撮った俯瞰撮影の壮麗さ、動員エキストラの人数の多さなどは度肝を抜くスケール。
 そのインパクトの強烈さから日本では「イントレランス」がいわば「俯瞰撮影の代名詞」となり、それ用の足場の名前に転じたというわけです。さらにもう1点、

 ・イントレランスの日本語訳は不寛容、ふかんよう......俯瞰用

 と、はからずもシャレが成立している点もこのコトバの定着に関係しているようです。

関連DVD紹介
★右端の「グッド・モーニング・バビロン!」は、グリフィス監督のもとで「イントレランス」の美術スタッフとして働いた兄弟を描いた映画です。